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内田 樹

文藝春秋

グループ:Book

ランキング:4749

価格:¥ 725

発売日:2002-06

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カスタマーレビュー

現代人は、いかに構造主義の思想に縛られているか  (2008-11-02)
この本を読んでわかることを要約すると、以下のようになるかと思います。


「絶対的に正しいものはない」といった意見をここしばらくよく耳にしますが、
これって、今は当たり前のように思えても、実はかなり新しい価値観であるということ。

20世紀のマルクス主義全盛期には、
「絶対的真理」というものが存在している、という考え方の方が支配的だったけれど、
それを批判する形で登場したレヴィ・ストロースやフーコーなどの構造主義思想が広まって、

その結果、
我々が絶対的・当たり前の常識だと信じるものは、実は恣意的、もしくは偶然にそうなっただけのものであって、本当は絶対的なものなんか存在しない。
という考え方が定着するに至ったという経過。

構造主義の時代が終わり、今はポスト構造主義の時代だといわれて久しいですが、
実は我々は、構造主義的な考え方に支配されているかということ。

こんな感じでしょうか。

構成は、
まず我々がいかに構造主義的な価値観にとらわれているか、という説明に始まり、
構造主義が生まれる土壌として、マルクス・ニーチェ・フロイト、
構造主義の父といわれるソシュール、
構造主義思想の代表者、ミシェル・フーコー、ロラン・バルト、レヴィ・ストロース、ジャック・ラカン、
これらの人物の著作と思想の要点が説明されています。

時代を席巻する思想に、自分がいかにとらわれているかを知り、
思想を勉強してみようかな、と思うきっかけとしては、格好の書籍でしょう。


タイトルも良いけれど中身も良い  (2008-03-26)
この本も面白かったです。

わたしたちの日常生活にすっかりと染み込んでいるにもかかわらず、理解するのには非常にややこしい「構造主義」について、あまり肩肘を張らず寝っころながりながらでも読めてしまうという高度な小技が効いた本です。
専門的で難解な内容にもかかわらず、平易で読みやすい文章で書かれているし、細かな言い回しがとっても面白かったりするので、ゲラゲラ笑いながら読めてしまいました。
決してタイトルを裏切らない内容です。

こういう本が増えてくるといいなぁ。

構造主義の前途はブルバキと同じ?!  (2008-01-21)
従来の哲学における「主体=精神/客体=物質」(二項対立)に対して、ヘーゲルは「自己意識が知を増大して絶対知(神と同等の知)に至るという思考の枠組み(主体の観念論的弁証法)」を提示した。その後、ダーウィンの“自然淘汰説”が脚光を浴びた時代に、ヘーゲルの弁証法に注目したマルクスは、「人間の経済活動が社会の知を淘汰して共産社会(支配階級の無い社会)に至るという思考の枠組み(客体の唯物論的弁証法)」を提示した。ヘーゲルの主体(自己意識)は“性善説”なので、マルクスの他者を含む客体(社会集団)も“性善説”となる。ただ、どちらの場合も、無限回の弁証法という論理操作に内在する無限の時間のパラドクス(i.e. ゼノンのパラドクス)から逃れられない。
一方、ニーチェは「神は死んだ」(主体の絶対知を否定)と言い、大衆社会の成員は「畜群」(客体の理想を否定)だと述べて、主体も他者を含む客体も“性悪説”という思考の枠組みに立つ。

こうした状況を背景にして生まれた構造主義の特徴を、著者は“自分の属する集団(客体)が受容したものだけを自分の行動や判断の「自律的主体(i.e. 客観性、常識)」と信じていること”(p.25)だとする。そして構造主義者の主張を、「私はバカが嫌いだ」(フーコー)、「言葉遣いで人は決まる」(バルト)、「みんな仲良くしようね」(レヴィ=ストロース)、「大人になれよ」(ラカン)と要約する。(p.200)

本書を読んで、構造主義が現状の様々なシステムを良く説明できることは分かった。しかし、構造概念(代数構造、順序構造、位相構造)で完璧な厳密性と一般性を求めたブルバキの数学原論があまり有用でなかったように、ヘーゲルやマルクスやニーチェが残した哲学上の課題解決に構造主義が役立たないことも分かった。

主著を読んでみる気にさせる入門書  (2007-12-19)
専門家というものは、自分の専門分野を一言で言えと言われれば言えるし、5分間でまとめろと言われればまとめられるし、1週間で説明しろと言われればできる人間のことだ。

著者の内田樹はそれができる。

たとえば、「レヴィ=ストロースは要するに「みんな仲良くしようね」と言っており、バルトは「ことばづかいで人は決まる」と言っており、ラカンは「大人になれよ」と言っており、フーコーは「私はバカが嫌いだ」と言っている」と一言で言っている。

そして本書は読者をして構造主義者達の主著を読んでみる気にさせる点で成功している。

「人間であるということはどういうことか」を構造主義は説き明かしているのであった  (2007-09-22)
実に解りやすい構造主義の入門書です。哲学・思想入門の本はいろいろありますが、この本のように登場する思想家達の位置取りと相関関係をきちんと説明している本は見たことがありません。また、今まで内田先生の本をいろいろ読んだ中で、突然「それが人間であるということなのです」という決めつけ調の説明が出てくることがあって気になっていましたが、この本を読んでそうした「決めつけ」のほとんどは構造主義者達の知見がベースにあることが解って納得しました。レヴィ・ストロースが「情けは人のためならず」やマタイによる福音書第7章12節は「人間になる」ことの定義だp.165-166と言っていた(聖書には「律法である(同箇所)」とありますが)ということに感動しました。内田先生の言い方をまねてこの本から得た知見をまとめて見ます、フーコーは「自分を疑うことを知らない奴とはつきあえない」と言い、バルトは「言葉は一人歩きをする」と言い、レヴィ・ストロースは「情けは人のためならず」と言い、ラカンは「渡る世間は鬼ばかり」と言っているのであった(ほんとか)。

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